JIS X8341-3 ウェブコンテンツJIS(正式名称「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ」)がようやく出てきた。アクセシビリティをちゃんと考えていこうよ、という指針だと思われる。W3CのWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)あたりをうまく取り入れて、あとウェブコンテンツ作成の現状をよく考えて作ったんじゃないかなーと思う。
いちおう、いろいろ見てみて、個人的に気づいたことを、引用を交えて書く。
一番大きな点は、「開発及び制作に関する個別要件」で、「~ならない」となっているものと、「~望ましい」となっているものがあることじゃないかと思う。「~望ましい」のほうは、現状を踏まえて、まーしゃーないか、という感じで書かれているようだ。代表例は
表組みの要素をレイアウトのために使わないことが望ましい。
JIS X8341-3の5.2 d
あたりだろう。テーブルレイアウトを禁止してしまうと、この指針をほとんどの人が守らなくなる、という危機感があったんじゃないだろうか。ただ、はっきりいって、「~望ましい」は守らなくていいものと理解されそうな気がしている。
一方、「~ならない」のほうだけでも、現状を考えるとじゅうぶん厳しいものもある。
代表例は、
ウェブコンテンツは、関連する技術の規格および仕様に則り、かつそれらの文法の従って作成しなければならない。
JIS X8341-3の5.1 a
らへん。validであることを要求していると理解できる。もちろん、validであることが出発点で、そうでないと話が始まらない、ということなのだろう。が、きついだろうなあ。少なくとも、ほとんどのプロの皆さんは、勉強しなおしということに。がんばりましょう。
個人的に大変だなあと思ったのは
文字のサイズ及びフォントは、必要に応じ利用者が変更できるようにしなくてはならない。
JIS X8341-3の5.6 a
のところ。本文の、という条件がつかなかったのが痛い。メニューのあたりでピクセル指定をしているので、ADPもアウトということになる。もちろん、テキストブラウザは利用者が文字サイズを変更するのが大変だったりするし、OSレベルで解像度を変更したり、Mozillaで変更したりできるじゃん、といえば、これ自体もへりくつで逃げることもできる。指針を決めるのって大変ですなあ、じゃなくて、デザインとのバランスという観点から考えると、ここを守るのは大変かもしれない。さて、どうすっかな。
最後に、「~望ましい」を無視して、「~ならない」のところだけを対応しよう、という人たちのために(苦笑)、「開発及び制作に関する個別要件」部分の、「~ならない」になっているところを挙げる。
個人的に思うんだが、「~ならない」のところだけでも、守るのは相当大変だと思う。ウェブコンテンツ制作に携わっている、主にプロの人たちが、これを守るよう努力・勉強をして、少しでもいい世の中になってくれることを望むが、さて、どうなることやら。
5.1 a ウェブコンテンツは、関連する技術の規格および仕様に則り、かつそれらの文法の従って作成しなければならない。
5.2 a ウェブコンテンツは、見出し、段落、リストなどの要素を用いて文書の構造を規定しなければならない。
5.2 b(一部) 利用者がスタイルシートを使用できない場合、又は意図的に使用しないときにおいても、ウェブコンテンツの閲覧および理解に支障が生じてはならない。
5.2 c 表は、分かりやすい表題を明示し、できる限り単純な構造にして、適切なマーク付けによってその構造を明示しなければならない。
5.2 e ページのタイトルには、利用者がページの内容を識別できる名称を付けなければならない。
5.2 f(改変)フレームを使用するときは、各フレームの役割が明確になるように配慮しなければならない。
5.3 a ウェブコンテンツは、特定の単一のデバイスによる操作に依存せず、少なくともキーボードによってすべての操作が可能でなければならない。
5.3 b 入力欄を使用するときは、何を入力すればよいかを理解しやすく示し、操作しやすいよう配慮しなければならない。
5.3 c(改変)入力に制限時間があるときは事前に知らせなければならない。
5.3 d(改変) 制限時間があるとき、利用者によって時間制限を延長又は解除ができないときは、代替手段を用意しなければならない。
5.3 e 利用者の意思に反して、又は利用者が認識若しくは予期することが困難な形で、ページの全部若しくは一部を自動的に更新したり、別のページに移動したり、又は新しいページを開いたりしてはならない。
5.3 i 利用者がウェブコンテンツにおいて誤った操作をしたときでも、元の状態に戻すことができる手段を提供しなければならない。
5.4 a 画像には、利用者が画像の内容を的確に理解できるようにテキストなどの代替情報を提供しなければならない。
5.4 b ハイパリンク画像には、ハイパリンク先の内容が予測できるテキストなどの代替情報を提供しなければならない。
5.4 c ウェブコンテンツの内容を理解・操作するのに必要な音声情報には、聴覚を用いなくても理解できるテキストなどの代替情報を提供しなければならない。
5.4 d(改変) 動画など時間によって変化する非テキスト情報に、字幕又は状況説明などの手段によって同期した代替情報を提供できない場合には、内容についての説明を何らかの形で提供しなければならない。
5.4 e アクセス可能ではないオブジェクト、プログラムなどには、利用者がその内容を的確に理解し操作できるようにテキストなどの代替情報を提供しなければならない。
5.5 a ウェブコンテンツの内容を理解・操作するのに必要な情報は、色だけに依存して提供してはならない。
5.5 b ウェブコンテンツの内容を理解・操作するのに必要な情報は、形又は位置だけに依存して提供してはならない。
5.6 a 文字のサイズ及びフォントは、必要に応じ利用者が変更できるようにしなくてはならない。
5.7 a(一部) 自動的に再生する場合には、再生していることを明示しなければならない。
5.8 b 早い周期での画面の点滅を避けなければならない。
5.9 a 言語が指定できるときは、自然言語に対応した言語コードを記述しなければならない。
5.9 b(改変) 日本語のページで、想定する利用者にとって理解しづらいと考えられる外国語を使用するときは、初めて記載するときに解説しなければならない。
5.9 c(改変) 省略語、専門用語、流行語、俗語などの想定する利用者によって理解しにくいと考えられる用語を使用するときは、初めて記載されるときに定義しなければならない。
5.9 d(改変) 想定する利用者にとって、読みの難しいと考えられる言葉(固有名詞など)を使用するときは、初めて記載されるときに読みを明示しなければならない。
5.9 e 表現のために単語の途中にスペース又は改行を入れてはならない。
JIS X8341-3より抜粋(一部文意が変わらない範囲で改変)
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http://kidachi.kazuhi.to/blog/archives/000895.html も同じような論調ですね。